人類最古の歴史を持つ武器~中国拳法における「槍」は武器の王と呼ばれています

創造と工夫、心に明かりを
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さて、
人類最古の武器として石器時代からあり、現代にいたるまでその形に大きな変化がない武器は何でしょう?

頭の中から小学生時代に見た狩猟の様子が描かれた絵を思い出します。
彼らの手に握られているのは「槍(やり)」や「斧(おの)」です。

今回はそんな古い歴史を持つ武器「槍」についての話です
今まで紹介してきた「刀、剣、棍」の3つもそれぞれすぐれた武器ですが、槍は「武器の王」と呼ばれています
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●1.槍とはどんな武器?
●2.使い方~長さとしなりと刃を活かせ

中年会社員武術家JunoIwamiが取り組む形意拳でも「形意拳大槍(けいいだいそう)」という2メートル以上の槍を使う型があります。

他の拳法でも、槍の長さや使い方こそ違いますが、それぞれの型や使い方が伝えられています。

演武においても見どころの一つとして、見る人の目を釘付けにする事でしょう。

●1.槍とはどんな武器?

槍は「長い棒(柄)の先に突き刺すための刃物を取り付けた武器」とあります。

中国拳法の「槍」は、長い棒(柄)の部分に「しなりのある木」を使います。
前回紹介した「棍」と同じ白蝋という木です。

棒の先端部に刃となる穂先をつけて使います。
また穂先と柄の境目付近に布や房(ふさ)をつける事もあり、音を出したり目くらましにしたり、相手の血が手元に流れてこないようにする配慮とも聞いています。

長さは2メートルが目安になりますが、自分の身長や拳法の種類に合わせて短くするケースも多いです。

長いものは3メートルから4メートルの槍もあります。
「どうやって家で保管しているのだろう?」という練習以前の疑問や興味がわきます。

私ですか?2メートルの槍は壁に立てかけています。
それを超える場合は、天井が心配になりますので、室内用の物干し竿と一緒に壁に吊り下げています。

時々その槍にハンガーをかけて服を吊るしているのは内緒ですよ。

●2.使い方~長さとしなりと刃を活かせ

「槍なんて、突けばいいんじゃない?」
そう思っていた時期がありました。
しかし実際の扱いはもっと多岐にわたるものがありました。
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その長さは相手を寄せ付けずに対処することを可能とします

「しなる」材質を使っている分、棍と同じように当てるときの衝撃がとても強く、また棍よりも長いため、余計に遠心力が加わります。

そして穂先に刃がついている事から「振れれば切れる」と言う事実は嫌でも頭から離れません。

しなりのせいで予想の難しい動きをする穂先が、正面はもとより、頭上や足元から急に軌道を変えて体を切り裂こうと迫ってきます。

その様はまるで鷹が頭上から、または蛇が草むらからいきなり襲ってくるような状況であり、対応が難しいです。

攻撃方法は穂先を利用した突き刺す動作は勿論の事ですが
振り回し、足を払い、頭上から叩き、巻き込み、切り落とすと非常に多彩です。
武器としての使い勝手の良さは棍にだって負けません。

最小限の動きとフルパワーの出力を巧みに操り、一方的に相手を平伏させる。
槍はまさに武器の王にふさわしい風格を持っています。

<内部リンクです1〜やりに関連する話です>
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<内部リンクです〜「演武」の関連記事はこちらです>
<目次>
▼はじめに
●「演武」って何?~そんなあなたへ中年会社員武術家が取り組みと 目的を紹介します

▼演武の種類~徒手、素手~
●演武って結局何するの?~実際に大会に参加した中年会社員武術家が一人でやる演武の内容を説明します
●集団が魅せる演武の美~規律が生む演武の美しさをたっぷりお聞かせしましょう
●分かりやすい演武はいかが?~二人一組でやる演武は迫力と連携に瞬きを忘れます

▼演武の種類~武器~
●中国拳法の武器ってどんなの?~ではまず「刀」の魅力と演武の見どころを説明します
●見栄え良し、機能良し~中国拳法の武器に高貴さを求めるなら「剣」こそ相応しい
●使いやすさという最大の強みを活かせ!~中国拳法の棍術は「しなる」迫力が魅力です
●人類最古の歴史を持つ武器~中国拳法における「槍」は武器の王と呼ばれています

▼個人的な経緯
●かつては演武が嫌いだった?~中年会社員武術家が演武に積極的でなかった理由
●それは誰かの笑顔の為に~中年会社員武術家が演武会の参加を続ける理由

▼演武会の楽しみ方
●「見て楽しむ」中国拳法~演武者との一体感を得る3つの取り組み
●演武会に行くのは初めてかい?~では、日本古武道演武大会に行った時の「どよめきと驚き」の話をしよう
●日本古武術の演武が見たい?~私なら日本古武道演武大会を楽しみに待ちます、2月開催ですけど!
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す  岩見より

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