演武って結局何するの?~実際に大会に参加した中年会社員武術家が一人でやる演武の内容を説明します
創造と工夫、心に明かりを
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さて、
前回の記事で「演武」の定義と目的について述べました。
「よし分かった。じゃあ、一体どんなことをするんだ?」
そんな疑問を持つあなたは鋭いです。
演武の主旨は「練習成果を人に披露する事」です。
今回は、演武という取り組みで何を行うかについて話をします。
●型演武~個人~
◆1.規定の型~決まった動きを行う
◆2.自選の型~自分で選び、構成する
演武で主にやる事は型(武術の動作を一連の流れにまとめた動き)の披露です。
中年会社員武術家JunoIwamiはその取り組みで感じる面白さとやりがいを伝えたいのです。
目次
<<●型演武~個人~>>
演武を行う時に、個人(一人)で行う事を「個人演武」または「単演」と言います。
この時に行う演武の型は大きく二つに分かれており、それそれに目的や面白さが違ってきます。
◆1.規定の型~決まった動きを行う
規定の型とは、教わった事や決められた動きをそのまま発表する事を言います。
中国拳法の場合、先生に習う型は順序や動き方が決まっているため、それを崩さずに演武を行う事になります。
今度私が参加する「第25回武当拳法協会表演会」はこの形式がメインとなります。
決まったことをやって何が面白いのかって?
良い質問です。とても良い質問です。
そうですね、既に武術を始めている関係者であればこう思うはずです。
「皆が知っている型を、この人はこう体現するのか」と
例えて言うなら、誰もが知っている「カレーライス」という料理を、ある人は香り豊かに仕上げ、またある人は家庭の味を前面に出す。
そうした「共通した知識の中にある違い」を楽しむ事が出来ます。
教わっている型は同じなのですが、人それぞれにタイミングや風格などが違ってきます。
知っているはずの型が、まるで違うものに見えてしまう場合さえあります。
自分がやっている、自分が知っているものなのに違う一面が見られるという事は、とても新鮮な驚きを与えてくれます。
では逆に、見慣れない人が見たらどうでしょう?
それはもう、普通に見ていてもアクションの激しさや風格に魅了されることでしょう!
何より演武者は型を演じる事に全力を傾けています。
動きが決まっているという事は、やるべき事も決まっているため、練習の精度が上がっていきます。
練習を重ねた末の型は、非常に洗練された演武に仕上がり、皆さんの前に披露されます。
そんな全力の姿は、たとえ初めて目にする動きであっても何かのメッセージと熱意を心に伝えてきます。
◆2.自選の型~自分で選び、構成する
習った動きからいくつかの動作を抜き出し、自分で組み合わせる演武があります。
これを自選の型、または自選套路と言います。
自分が得意とする拳法の特徴を活かし、自分が最も格好良く出来る、自分で選んだ、自分のための型構成です。
演武者本人のモチベーションはマックスに引き上げられ、練習にも演武にも熱が入ります。
そのためとても変化に富んだ演武が見られ、見る側はとても楽しく見る事が出来ます。
毎年7月に行われている「武術太極拳選手権大会」という大きな大会では、自選の型を行うための枠が設けられており、その中では同じ拳法であっても、一人一人が違う型を披露しています。
この大会には私も出場したのですが、とても引き込まれました。
特に上位入賞者の演武は私に目標と課題を突き付けながらも、一個人として応援したくなる素晴らしい物でした。
<<演武の種類はたくさんあります>>
今回は一人でやるタイプの演武を紹介しました。
演武の種類は、複数人で行う場合や、武器を使う場合など、たくさんの種類があります。
それぞれに面白さがあり、見ごたえがあります。
参加者本人も引き込まれる演武という楽しさを少しでも伝えられれば幸いです。
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<目次>
▼はじめに
●「演武」って何?~そんなあなたへ中年会社員武術家が取り組みと 目的を紹介します
▼演武の種類
●演武って結局何するの?~実際に大会に参加した中年会社員武術家が一人でやる演武の内容を説明します
●集団が魅せる演武の美~規律が生む演武の美しさをたっぷりお聞かせしましょう
●分かりやすい演武はいかが?~二人一組でやる演武は迫力と連携に瞬きを忘れます
▼個人的な経緯
●かつては演武が嫌いだった?~中年会社員武術家が演武に積極的でなかった理由
●それは誰かの笑顔の為に~中年会社員武術家が演武会の参加を続ける理由
▼演武会の楽しみ方
●「見て楽しむ」中国拳法~演武者との一体感を得る3つの取り組み
●演武会に行くのは初めてかい?~では、日本古武道演武大会に行った時の「どよめきと驚き」の話をしよう