使いやすさという最大の強みを活かせ!~中国拳法の棍術(こんじゅつ)は「しなる」迫力が魅力です
創造と工夫、心に明かりを
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さて、
中国拳法に限らず、なるべく遠い間合いで、相手を近寄らせずに攻撃したいという場合は出来るだけ長い武器を使うと効果的です。
中国拳法ではそうした長い武器の一つとして「棍」があります。
今回は棍についての話です。
「最も基礎となる武器」として古くから存在し、とても単純で、だからこそ実力が試される、そんな相棒のような武器です。
●1.棍ってどんな武器?
●2.長短両用の万能武器
単に武器として優秀なだけでなく、演武としてもその迫力が、ダイナミズムのある技があなたの目と耳を楽しませます。
中年会社員武術家JunoIwamiもいつか棍術で演武が出来ればと練習しています。
目次
<<●1.棍ってどんな武器?>>
中国拳法で使う「棍」は、言ってみればただの棒ですが、その特徴は「しなる」事です。
「白蝋」という中国原産の柳の一種を使うことで生まれる「しなり」はとても弾力があり、地面にたたきつける動作を行ってもその衝撃を逃がし、折れません。
その「しなり」が生む瞬間的なインパクトが、ただの棒切れを演武の華に押し上げ、驚異の破壊力を秘めた武器に仕上げます。
天然木のため、細かい瘤(こぶ)もところどころにあり、傷や曲りもあります。
長さも一定しておらず、2メートルくらいの長さから販売されているのを、自分の身長に合わせて切って調整していきます。
言ってみれば自分で調整した自分専用の武器ですので、もうこの時点で愛着がわいてきます。我が相棒として名前を付けたいくらいです。
棍の太さは直径2cmから、太いところで直径4cmを超える場合もあります。先端に行くほど細くなり、根元の方が太くなる形はまさに「天然木」そのものです。
演武では、良く「しなる」ようにやや細身の棍が使われ、鍛練用では太い棍が使われます。
演武で振り回されグネグネとしなる棍の様子を見ると「ああ、あれで殴られるのは勘弁だな」と切実に思います。
<<●2.長短両用の万能武器>>
棍は武器法の中では基本として重要視されます。
刃も持たないただの棒切れですが、初心者から高段者まで、広い層に親しまれています。
また棍の特徴には「特化していない」事が挙げられます。
刃がついていないため、刀(とう)切る事は出来ません。
しかし、上からたたきつける動作は攻撃として十分な威力を持ちます。
剣(つるぎ)の様な鋭い突きは出来ませんが、棍の先端はそのまま相手に突き込むことが可能です。
その長さを活かして足元を払い、躱されても反対側の先端がクルリと半回転して相手を襲います。
特化した特徴がない分、その自在ぶりを発揮するように型が組まれており、時には振り回す音にさえ恐怖を感じます。
長短自在、唸る音圧
一見、だだの長い棒ですが、演武でもその使い勝手の良さは武器の面白さと可能性を見せてくれます。
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<目次>
▼はじめに
●「演武」って何?~そんなあなたへ中年会社員武術家が取り組みと 目的を紹介します
▼演武の種類~徒手、素手~
●演武って結局何するの?~実際に大会に参加した中年会社員武術家が一人でやる演武の内容を説明します
●集団が魅せる演武の美~規律が生む演武の美しさをたっぷりお聞かせしましょう
●分かりやすい演武はいかが?~二人一組でやる演武は迫力と連携に瞬きを忘れます
▼演武の種類~武器~
●中国拳法の武器ってどんなの?~ではまず「刀」の魅力と演武の見どころを説明します
●見栄え良し、機能良し~中国拳法の武器に高貴さを求めるなら「剣」こそ相応しい
●使いやすさという最大の強みを活かせ!~中国拳法の棍術は「しなる」迫力が魅力です
●人類最古の歴史を持つ武器~中国拳法における「槍」は武器の王と呼ばれています
▼個人的な経緯
●かつては演武が嫌いだった?~中年会社員武術家が演武に積極的でなかった理由
●それは誰かの笑顔の為に~中年会社員武術家が演武会の参加を続ける理由
▼演武会の楽しみ方
●「見て楽しむ」中国拳法~演武者との一体感を得る3つの取り組み
●演武会に行くのは初めてかい?~では、日本古武道演武大会に行った時の「どよめきと驚き」の話をしよう
●日本古武術の演武が見たい?~私なら日本古武道演武大会を楽しみに待ちます、2月開催ですけど!
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す 岩見より