見栄え良し、機能良し~中国拳法の武器に高貴さを求めるなら「剣」こそ相応しい
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さて、
中国拳法の武器にはたくさんの種類がありますが、その中で「高貴さ」を放つ武器といえば何と言っても「剣(つるぎ)」です。
中国のアクション映画などでも、主人公が手に持つのは刀より剣の方が圧倒的に多い事から、その人気と見栄えの良さがうかがえます。
こうした人気の理由は武器としての機能性、そしてそれを操る者の動き、その洗練された挙動が「美しさ」として見えるためです。
今回は、そんな男女問わず人気を誇る「剣」について話します。
●1.剣と刀は似て非なるもの
●2.シンプル形状な多機能武器
剣は別名「貴族の武器」と言われています。
それは武器としての佇まいだけではありません。剣を操る小さい動きで相手を制する様子に、気品さえ感じるからです。
目次
<<●1.剣と刀は似て非なるもの>>
剣の形は真っ直ぐに伸びており、左右両方に刃がついています。
刀(とう)と違い、両刃である事が剣の特徴です。
剣と刀の間に優劣はありませんが、もし、両者の関係を料理に例えると、刀が大衆食堂の料理で、剣が料亭の料理と言えばよいでしょうか
大衆食堂は誰でも格式張らずに利用できます。そして価格と量のバランスを確保することで人を満足させるという目的を達します。
料亭の場合は質がより重視されます。一つの料理の中にも味や量だけでなく、目で見る楽しみや香りの楽しみなど、複合的な満足を与えることで目的を達します。
料理に求めるニーズはそれぞれであるように、同じ刃物を持つ武器類であっても、その使い方や特徴には違いが出てきます。
<<●2.シンプル形状な多機能武器>>
まるで高級料理のような剣ですが、その「質」を支えているのは何でしょうか?
その一つとして多彩な使い方が挙げられます。
例えば刀の場合は「切る」を中心に使用法、攻撃手段が組み立てられます。
剣の場合はまず刃の形が真っ直ぐに伸びているため「突き」が使えます。
更に左右にある刃(両刃)を最大限に活かせますので、「切る」という動作も多くのバリエーションが出てきます。
こうした多彩な使い方は12個に及び、片手で扱える武器としてはとても多機能であると言えます。
<<刀は三年、剣は十年。それでも使いたい人たちがいる>>
剣はシンプルな見かけのですが多彩な機能を持ちます。
その分、操るための技術も高い水準が要求されるため、剣は高級、高難度な武器として分類されます。
習得には時間がかかることから、刀と比較して「刀は三年、剣は十年」とさえ言われています。
こうした習得の難しさはありますが、中国拳法をやる人たちは剣に注目し、練習に励んでいます。
そして鍛えた技を演武会で披露する人たちは、その技で人の目を楽しませようとしています。
「剣」の持つシンプルで精緻な魅力と、それを操る見事な演武は、まさに見栄え良し、機能良しの優れた武器法として演武される事でしょう。。
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<目次>
▼はじめに
●「演武」って何?~そんなあなたへ中年会社員武術家が取り組みと 目的を紹介します
▼演武の種類~徒手、素手~
●演武って結局何するの?~実際に大会に参加した中年会社員武術家が一人でやる演武の内容を説明します
●集団が魅せる演武の美~規律が生む演武の美しさをたっぷりお聞かせしましょう
●分かりやすい演武はいかが?~二人一組でやる演武は迫力と連携に瞬きを忘れます
▼演武の種類~武器~
●中国拳法の武器ってどんなの?~ではまず「刀」の魅力と演武の見どころを説明します
●見栄え良し、機能良し~中国拳法の武器に高貴さを求めるなら「剣」こそ相応しい
●使いやすさという最大の強みを活かせ!~中国拳法の棍術は「しなる」迫力が魅力です
●人類最古の歴史を持つ武器~中国拳法における「槍」は武器の王と呼ばれています
▼個人的な経緯
●かつては演武が嫌いだった?~中年会社員武術家が演武に積極的でなかった理由
●それは誰かの笑顔の為に~中年会社員武術家が演武会の参加を続ける理由
▼演武会の楽しみ方
●「見て楽しむ」中国拳法~演武者との一体感を得る3つの取り組み
●演武会に行くのは初めてかい?~では、日本古武道演武大会に行った時の「どよめきと驚き」の話をしよう
●日本古武術の演武が見たい?~私なら日本古武道演武大会を楽しみに待ちます、2月開催ですけど!
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す 岩見より