時には「斧」、時には「槍」へ!~五行拳の始まりは「劈」と「崩」にあり
創造と工夫、心に明かりを
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さて、
形意拳(けいいけん)には基本の形として五行拳(ごぎょうけん)と呼ばれる5つの突き方があります。
それぞれが特徴を持つ突き方なのですが、今回は始めの二つについて説明します。
斧の様に強力に相手を叩き割る「劈拳(へきけん)」と槍で突き刺す軌道を持つ「崩拳(ぽんけん)」です。
「劈拳」は斧で叩き割るように
「崩拳」は槍で突き刺すように
五行拳は10年以上練習しても尚、中年会社員武術家JunoIwamiに多くの示唆を与えてくれます。
目次
五行拳、始まりの二つ
聞いた話によりますと、五行拳はもともと「劈」と「崩」の二つしか無かったのだそうです。
これは形意拳が槍の技術から発生したためと言われています。
「劈拳」は斧で叩き割るように
主に五行拳の一番目に習う形です。
「劈(へき)」という言葉はあまり日本語では使いませんね。
初めて見た時は読み方すらわかりませんでした。
辞典によると「勢いよく突き破る」とあり、
五行説(木・火・土・金・水)では「金」を当てています。
「金」は「金属」です(決して「お金」ではありません)。
動きとしては上下動、特に下に切り下す動作に特徴があります。
そのため「斧(金属)でもって相手の全てを叩き壊す」というイメージが一番わかりやすいです。
自分の体を柄として、腕を斧の刃の部分として用いるのです。
これは劈拳を打つ時だけでなく、打つ前の動作まで含めて相手の攻撃も、防御すらも崩すような形で成り立っています。
形意拳を練習している人たちにとってはおそらく一番数をこなすことになる打ち方です。
「崩拳」は槍で突き刺すように
主に五行拳の2番目に習う形です。
「崩」は日本語でも良く「崩す」などの単語として使われています。
五行説(木・火・土・金・水)では「木」を当てています。
動きとしては前後の動きで構成され、とてもシンプルです。
空手の中段逆突きの変形バージョンというと、少しだけイメージが歩み寄ります。
形意拳は「槍」の技術から発生したと言われていますが、崩拳は槍による「突き」の動作が最も色濃く出ています。
「半歩崩拳(はんぽぽんけん)遍(あまね)く天を打つ」と言われるほどに形意拳の代名詞になっており、
どのような相手でも崩拳の一撃で倒す名人がいました。
形意拳を練習する人たちにとっては、憧れの対象です。
まずはやっぱり基本から
優秀な理論で裏付けされ、沢山の逸話や名人を輩出していても
「今、ここで」形意拳を練習しているのは、他でもない私です。
ですから、この素晴らしい拳法の、まずは基本から身に着けていきたいものです。
地道に練習を行い、少しずつでもいいので確実に前に進んでいく。
泥臭く、洗練されているとはお世辞にも言えませんが、私はこうして取り組んでいきます。
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す 岩見より