気付けば前向きな気持ちになっていた~落ち込み気分とサヨナラする中国拳法の稽古の効用とは
創造と工夫、心に明かりを
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さて、
「稽古を始めて、何か変わった?」というとても曖昧な質問に対して
「ええ、ずいぶん前向きな性格になりましたね。」とためらいなく答えてくれた人がいます。
「強くなった」というのも良いのですが、もっと日常的に、その人の人生が少しでも明るく過ごせるようになってくれたのなら、それこそ望外の喜びというものです。
ですからこの発言は私にとって最高の賛辞と褒美と言えます。
では、なぜ稽古を始めたら性格が前向きになったのか
今回はその流れについて話していきたいと思います。
●1. 稽古中に猫背を直す
●2. 試してみよう「この姿勢で落ち込むことは可能か?」
一見関係なさそうなこの二つは、実は完全につながっています。
目次
<<猫背の心理的原因>>
猫背となってしまう理由の一つとして心理的な原因があります。
人は心が疲れ切っていたり、自信を喪失したりすると、視線を下げ、首が下がり俯いてしまいます。この状態が猫背を促します。
心の状態が、体に影響を及ぼすのです。そして経験則からではありますが「体の状態が、心に影響を及ぼす」というのも確かにあるのです。
これを利用します。
●1. 稽古中に猫背を直す
稽古では突きや蹴り、型の練習をしていきます。
これらの練習では基本的に自分と同じ高さを狙うため、稽古を続けている間は基本的に視線が下に向くことはありません。
体の軸を真っ直ぐに、上下に伸ばして立った状態で、視線を正面に向ける。この状態では「猫背のように俯く」という状況が発生しません。
稽古を行う、その行為自体が、まず物理的に猫背の予防と矯正に繋がります。
●2. 試してみよう「この姿勢で落ち込むことは可能か?」
「人間、胸を張って、やや上を向いた状態では、落ち込むことって出来ないんですよね」とは、先ほど「前向きになった」と答えてくれた人の言です。
おおっ!?確かに落ち込めません。
頑張れば瞬間的にネガティブモードになることは可能ですが、長時間は持ちそうにありません。姿勢と気分の関係性を垣間見ました。
猫背でないこと自体が、気分の落ち込みを予防し、また落ち込んでも直ぐに復帰することが可能であることが実感できました。
落ち込む心理が起きにくくなるのです。
<<俯かずに、前を向いて笑っていたい>>
「猫背さえ予防すれば、気分はいつでも上々」といった簡単な話ではない事は重々分かっています。
それでも、体を動かして活性化させ、少し姿勢に気をつけておけば「猫背にならない事」は難しい事ではなく、それが悪い思考の連鎖を止める可能性は高いと思います。
少し俯き加減の人、最近笑っていない人、心に元気が戻らない人は
そうですね、まずは胸を張って前を向くところから始めてみませんか?
武術をやって「強くなったという自覚」は確かに欲しいものではありますが、こうした「今までより生きやすくなった」という類の感覚の方が、笑顔をもたらす日常に必要とされる大事な感覚だと思うのです
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す 岩見より