希望につながる開発と循環〜正宝内家拳研究会2020年9月中国拳法稽古記録
地道に活動を続ける会社員コツコツ武術家の岩見です、ごきげんよう。
今回はわたしが主宰する中国拳法の教室「正宝内家拳研究会(せいほう・ないかけん・けんきゅうかい)」の稽古を振り返っていきます。
2020年9月の活動記録です。
いつも通り武術の内容を起点にして体の使い方、意識の置き方をやっていきました。
地味に念入りに丁寧に体と向き合いながら動かしていきます。
「その人の希望はその人の内側にすでに存在している」
気づきの感覚を軸に自分が持つ可能性を開発していく。
それをつないで循環させる。
武術や拳法の動きは先人の知恵と哲学の集合体であり
対人稽古は可能性の開発を加速していくための道しるべとなります。
裏付けのための理論説明もセットにしながら自分に向き合います。
自分自身が希望と可能性の探索者であるための取り組み。
稽古に費やす時間と機会が人生の希望につながっていく。
そんないつもの稽古でした。
目次
正宝内家拳研究会〜2020年9月活動記録
言葉にならない感覚を受け入れる
9月7日
言葉にならない感覚を受け入れる
稽古をする時はふたつの段階でやった方が効果的です。
まず言えるのは体を動かす段階。
実際の稽古はここにあたります。
体を動かし体を鍛え、あるいは静止して「感じとる」力を養う。
もうひとつは思考し、工夫する段階。
日々の稽古内容を振り返ることです。
意図とあっているか、どうしたいか、どうすればいいかなどを自分に聞いていきます。
しかし現代社会で生きる人はどうしても思考を重視します。
そのため思考(理性)で判断や良し悪しを決めようとする傾向があります。
思考主体から抜け出し、自分を俯瞰する方法として芳村思風先生、行徳哲男先生による「感性論哲学」から理性と感性の話を引用しながらの説明です。
言葉にならない感覚を受け入れること。
求感性(ぐかんせい)の要素などを話します。
自分を感じることは武術だけでなく日常生活にも活きる内容です。
体を開発して力を通す
稽古記録2020年9月14日
十分に準備体操を行なうことはケガの防止にもつながるのはご存知の通りです。
同時に体の土台を作り、力を通す経路を整えることにつながります。
下半身の安定性に不安があるとの話を聞いたので、やや特殊なスクワットを伝えました。
筋力だけではなく、連動と柔軟性を兼ね備えた鍛錬により下半身の安定性が増します。
また足の裏にある力を腰や肩を通して指先まで持ってくるよう意識して動いていくことも大切です。
形意拳の基本を一通り、推手(すいしゅ)もやってこの日の稽古は終了しました。
(推手については後述します)
才能なんかなくったって、努力と取り組み方で十分な実力がつけられる。
自分の中にある可能性と希望を実感しながら取り組んでもらえるとうれしい限りです。
入念で地味な取り組みに面白さを感じる
稽古記録2020年9月21日
骨盤周りと股関節のストレッチを入念に。
骨盤周りに取り組むことは神経痛の予防にも役に立つのでいくつかストックしておくと良いです。
首回りをほぐしていきます。
血流を良くしつつ、柔軟性も上げていきます。
肩から肩甲骨にかけては肘の操作で可動域を広げていきます。
おかげでいつもやってる体を左右にねじる運動(スワイショウ)のねじり具合が心地よく、グイングインと動きます。
形意拳の基本となる五行拳は前後、回転、沈墜(ちんつい:下に落ちる力)の3つの力をひとつに合わせます。
「力を出す感覚」を伝えるために相手に私のお腹を押してもらい、それを肚の感覚だけで押し返していく。
筋力とは違う力の伝わり方に驚かれます。
地味だけど基本からしてやることが多い。
だからこそ面白いのです。
上下の動きで気の流れを整える
稽古記録2020年9月29日
久しぶりの再会があったこの日。
「おおー!ひっさしぶり!元気だった?」というやりとり
なんか顔を見られただけでもうれしい。
基本功を入念にやっていきます。
呼吸法は肺を十分に動かすために肋間膜を動かすこともやっていきます。
肋間膜の柔軟性はこの会で重要視していることのひとつです。
しっかりと胸式呼吸を開発しつつ腹式呼吸に移るという順番です。
腹式呼吸は順式と逆式をやることで呼吸を体に練りこんでいきます。
軸を立て、顎を引いてうなじは伸ばす。
きつい場合は顎の角度を呼吸しやすい角度にする。
その上でうなじを伸ばすという順番がやりやすくなります。
形意拳は沈墜(ちんつい:下に落ちる力)がメインの力の使い方です。
ただ沈墜ばかりやっていると気が滞る(気滞「キタイ」状態というらしい)。
そこで沈墜とは逆の「上げる」動きもやっていきます。
上にあげる動きは形意拳の兄弟拳である心意六合拳(しんい・ろくごう・けん)が得意とするところ。
この上下の動きを繰り返すことで気を整えていきます。
それから形意拳の稽古に入ります。
基本である三体式の構えと五行拳の劈拳を見直してきます。
終了後も外の公園で質疑応答&稽古の延長戦。
燃えてるなあ、と感心しながらできることを話し合いながら伝えていきました。
帰宅した後に「あ、今回の稽古の写真撮り忘れた」と気づく。
まあ、こういう日だってあるさ。
推手は感性要素を養成できる稽古です
「推手(すいしゅ)は太極拳の稽古方法のひとつです。
最近は稽古時間の終盤の時間を使って稽古しています。
相手と手を合わせた状態から円を描くように押したり引いたりを繰り返す。
腕を通して全身を使って相手を感じながら、相手の動きに合わせて流れるように動きます。
たったひとつの感覚を共有する
大切なのは相手を感じること。
勝負根性を捨てて「たったひとつの感覚を共有すること」に集中する。
力を抜いた状態で体を動かし、相手と共に動くことは、感性的な要素を養成できる良い稽古だとあらためて感じます。
だって考えたって上達しないんだもん。
「考えるより感じましょう」というのがこれほど似合う稽古もないです。
推手の稽古はとても面白い
参加者もどんどんやりたいと言ってくれる。
積極的に取り入れていこう。
いずれ一般の人にも体験してもらえるよう機会を作りたいなって考えてます。
2020年9月稽古まとめ
9月の稽古を振り返ってみて感じたことは、自分の役割とはなんだろうという気持ちです。
なので団体名の素案も出来てきたのかなと感じています。
わたしはこの会の代表であり、武術や体の動かし方を指導している立場です。
「そもそも武術をなんのために伝えているのか」と、もっと上のレベルで考える必要を感じました。
「開発と循環」
自分が担っている役割、武術を起点として伝えられることは開発と循環の二つに集約しているように感じます。
希望と可能性に至るために
その人の命が真っ直ぐに生きるために
関わる人たちに生きる希望になることを提供する。
湧き上がってきた言葉はそんな気持ちを表していると感じています。
「その人の希望はその人の内側にすでに存在している」
自分の気持ちを大切にしつつ、参加してくれる人も尊重し、共に確認しながら今後も続けていきます。
<関連リンクです>
・中国拳法の教室「正宝内家拳研究会」活動記録2020年8月〜命が真っ直ぐに伸びていくように