対談の撮影機材をシンプルにした理由と使ってみた感想を語ろう〜2020年8月湯河原「いのちの森対談」
2020年8月、神奈川県湯河原で撮影した「いのちの森対談」
前回は「撮影編」として記事を書きました。
その記事を読んでくれた方の一言
「機材はなに使ったの?」
そう言われると思ったので用意しておきました。
今回は対談動画で使った機材について話していきます。
「撮影はiPhone7PLUSとマイクだけ」
と前回の記事では書きましたが、シンプルな構成となったのは結果であって、その過程にはいろいろと悩みとこだわりがあったのです。
特にマイクについては撮影直前まで試行錯誤していました。
動画撮影について初めの一歩を踏み出したい方
どんなマイクを使って収録するのが良いかわからない方
そうした人たちにこの記事が参考になれば幸いです。
目次
対談で使った機材の紹介
湯河原の対談で使った機材と小道具を紹介します。
1. iPhone7PLUS
2. ピンマイク(ラベリアマイク)
3. Lightning接続アダプター
4. 一脚(もしくは三脚)
5. スマートフォンホルダー
6. ヘッドホン(イヤホン)
7. モバイルバッテリー
1と4があれば最低限の撮影はできます。
動画の品質を上げようとしたら1〜5を用意した方が良いでしょう。
6のイヤホンは必須とは言いませんが、音声の確認のためにあったほうが良いです。
7のモバイルバッテリーも必須ではないかもしれませんが確実に心に余裕を持たせてくれるアイテムです。
実際持ってなかったら撮影できませんでした(理由は後述します)。
ではもう少し詳しく説明します。
映像を録画するカメラは3台あった
使ったカメラはiPhone7PLUSのみでしたが、自宅からはもう2台持っていきました。
合計3台のカメラを用意していたことになります。
iPhone以外のカメラを紹介します。
ひとつは「GoPro7」というアクションカメラ。
GoPro7は小さなカメラです。
振動によるブレが極端に抑えられるカメラのため、歩いている時などの「何かやっている時の様子」を断片的に撮影できればと思い持っていきました。
もうひとつはデジタル一眼レフカメラPENTAXの「K-50」です。
K-50は対談時の2台目のカメラとして使えないかと持っていきました。
2カメラ体制ができないかと期待していたのです。
2カメラ体制とは1台目のカメラで全体像を撮影します。
同時に2台目のカメラで強調したい部分を撮影して編集時に切り替えるやり方です。
例えば1台目のカメラであるiPhoneで対談者「ふたりの様子」を撮影します。
2台目のカメラであるK-50で「ゲストのみ」をバストアップ撮影しておきます。
それを編集時に組み合わせていきます。
通常はiPhoneで撮影した映像を流しておき
ここぞ!というところやインタビュアーからの質問に答えるシーンで2台目のカメラ映像(ゲストのアップ画面)に切り替えることが出来ます。
あわよくば、GoPro7を3台目のカメラとしても使ってみようかとも考えていました。
カメラ1台で撮影することになった理由
撮影係として思惑というか理想像を掲げたのはいいのですが、実際に使ったのはiPhone7PLUSのみでした。
その理由はとても単純で、はじめての撮影なのに一人で2台3台のカメラを設置するには時間も労力も足りなかったことが原因です。
慣れればどうということはないのかもしれませんが、今回の撮影ではiPhoneと持ってきたマイクの接続とチェックで手一杯でした。
教訓!はじめはカメラ1台から始めよう
最初から複数カメラを扱うのは難しい、というのが今回の教訓です。
1台からでいいのです。
できるところから始めましょう。
しかし、もう一つの見方もあります。
2カメラ体制が出来なかった悔しさを次回に正しく持ち込むのです。
わたしの場合はこの悔しさを糧にして2回目の撮影では2カメラ体制に挑戦することが出来ました。
マイクは対談の要です
次はマイクの話です。
冒頭にも書きましたが、今回の収録はここが一番難所でした。
同時にとても勉強にもなりました。
はじめはマイクは後回しだった
対談撮影の話が出た当初はマイクを買う予定はありませんでした。
なにせ初めての取り組みです。
動画の完成度を高くするより
「まずはやってみよう!」を重要視するスタンスでした。
はじめからガッツリ重い機材を揃えるにはお金も時間もかかります。
万一熱意が消失したり、時間が合わなくなって継続できなくなってしまったら、投資した分が無駄になります。
そのためはじめは「iPhoneひとつでいいや」となり、マイクは後回しにしようとしていました。
マイクはいる?それともいらない?
しかし結果的にiPhoneに取り付けるマイクを2つも買いました。
マイクを「いるもの」として判断したのです。
「せめてマイクを使おう。安いやつでいいから」
なぜ当初の方向性にストップをかけ
わざわざマイクを買ったのか
それは自分の体験によるところがあります。
対談において対談者の音声はとても重要です
対談においては音声はとても重要です。
もしも話している様子が映っているのに音声がザリザリだったら。
その不愉快感たるや本当にイヤになります。
昨今はオンラインでの勉強会や映像配信などがあり、わたしもいくつかに参加させてもらっています。
そんな中には、設定ミスなのかただ気を付けていないだけなのか分かりませんが、酷い音質のものがあります。
ストレスを感じながら聞かなければならない音声はは苦痛以外の何者でもありません。
また、映像を見ずにラジオ感覚で流し聞きをする人もいます。
そうした人が「ちょっとこれは…」といって聴くのをやめてしまうような作品は作りたくありません。
たとえお手伝いとはいえ、自ら手掛ける作品になるのです。
最低限、不快感を与えないものを作りたい。
そう思いました。
試してみて分かったのですが
もしもマイクを使わずiPhoneで音声を録音するのであれば、かなり条件を整える必要があります。
・静かな室内であること。
・iPhoneのマイク部から1メートル以内で話をする。
この2つの条件は対談というシチュエーションではほぼ不可能です。
このような理由により、たとえ安い製品でもいいので外部マイクの利用は必須という結論になりました。
予算の都合上あまり高いものは買えませんが、今回の撮影に向けて、用途に合わせてコスパの良いマイクを選びました。
ピンマイク(ラベリアマイク)のSAIREN製「D.Lav」紹介
今回買ったマイクのひとつであり、実際に収録で使用したのがSAIREN製の「D.Lav」
Amazonで2980円でした。
ピンマイクとかラベリアマイクと言われているタイプです。
小型なので襟元や胸元につけられ、口から近い場所の音が拾えます。
周囲の音がうるさくて騒音が入ってしまってもマイクをつけている人の声を突出して録音してくれることを期待しました。
音声の編集時に加工することで後ろに入っている騒音のレベルを下げることもできるだろうという狙いもありました。
ピンマイクはケーブルの長さに気をつけて
SAIREN製「D.Lav」にはケーブルの長さが違うタイプがあります。
わたしが購入したのはケーブル長さが6メートルの有線タイプです。
(無線タイプの製品も他社で探せばありますが価格が高いのとノイズが入るのが怖かったので購入は見合わせました。)
他にもケーブル長さが2メートルなどがありました。
6メートルもの長い有線タイプを買った最大の理由は、撮影機器であるiPhoneと対談者との距離がわからなかったからです。
カメラを寄せて顔だけ映せばいいのであれば短いケーブルで十分です。
しかし周りの風景も入れたいとか
対談者の足先から頭まで入れたいとか
そうしたニーズが出てくると、カメラとなるiPhoneと対談者の距離は離れざるを得ません。
ケーブルの長さも、対談者の襟元から地面へ、そしてカメラまで地面を這わせてさらにカメラの接続部へとたどる。
そうした長さを考えるとどうしても長いケーブルが必要です。
2〜3メートル程度では長さが足りなくなるのは間違いないでしょう。
そのため、6メートルを選んだというわけです。
SAIREN製「D.Lav」を使ってみて
実際に使った撮影した映像を見た感想は「ベストかと言われると少し考えますが、現状やれることをやり尽くした納得できる品質」です。
周りの評価も「音がいいね」と言われたことが嬉しかったことを覚えています。
不満点を挙げるとすれば、入力音声が小さめなことです。
もう少し大きな音で録音できればよかったのですが、これでも最大レベルだったのです。
次にケーブルの長さです。
正直、使ってみて「ケーブルが長すぎたな」とは感じてます。
足りないよりもはずっとマシですけどね。
多分4メートルが妥当ラインでしょう。
またゲストが身振り手振りの激しい人の場合、ケーブルに手が引っかかる可能性もあります。
そうした事態を回避するためにも服の内側を通してから襟元に装着することをお勧めします。
そうすればケーブルがぶら下がっているのが見える状況も防げますね。
ガンマイクSAIREN製「VM-Q1」
もうひとつのマイクがSAIREN製の「VM-Q1」
Amazonで3080円でした。
(スマホホルダーとミニ三脚付とのセットで5980円だったのでわたしはこちらを買いました)
いわゆるガンマイクといわれる種類です。
マイクが向いている方向の音を集中的に拾ってくれます。
音を拾う範囲を選択できるということで汎用性がある(使い勝手が良い)のが特徴です。
実際、ピンマイクと比べてよく売れていると販売店の店員さんからはお勧めされています。
SAIREN製「VM-Q1」を使ってみて
汎用性の高いガンマイクであるSAIREN製「VM-Q1」
結果から言えばマイクなしでの録音(iPhone本体での録音)と大差ありませんでした。
これは性能がどうこうというのではなく、録音環境が厳しすぎたというのが理由です。
まず、対談者とマイクの距離が数メートルあったこと。
そのため「マイク前方の音」が扇状の範囲となり、集音性の効果が期待ほど発揮されませんでした。
加えて対談者の周囲が開放環境のため、全力全開のセミの鳴き声が入る始末。
とても「選択的に音を拾う」という状況ではなかったです。
せめて後ろが壁だったらもっと違う結果になってたと思います。
音声のテストはガンマイク(VM-Q1)の後にピンマイク(D.Lav)を試しました。
その音声の違いに思わず驚きの声を上げてしまったことから、その音質の違いがわかるかと思います。
ガンマイクには室内収録の時にあらためて出張ってもらうことにします。
番外編として作ったこの動画はマイクなしで撮影したものです。
本編と比べて音質が違うのがわかるでしょうか?
Lightning接続アダプターは必須です
マイクをiPhoneにつなげる場合、必須の道具があります。
それがLightning接続アダプターです。
マイクの端子は丸いタイプのものですがiPhoneはその接続口がありません。
せっかくiPhoneもマイクも持っているのに接続アダプターがなければつなげません。
無用の長物となります。
アダプターはひとつ1000円前後で販売されていますので買っておきましょう。
いざとなったらコンビニで買える接続アダプター
接続アダプターを買い忘れたり、中で断線して入力できないこともあると思います。
そうした時は近くのコンビニに寄ってみてください。
多分、売ってます。
わたしも、念のためと収録前に買い足した場所はコンビニでした。
一脚(もしくは三脚)
iPhoneを手持ちで持ち続ける強靭な筋力があればともかく、普通の人は一脚(もしくは三脚)の使用も必須でしょう。
今回使ったのは高さ60cmの一脚。
真っ直ぐに伸ばして高さを出します。
2000円前後で買えます。
下部(地面側の足)は3つに分かれ、地面に置いて支えます。
上部にスマートフォン用のホルダー(後述)を取り付けます。
傾きや向きを調整して上手く画面に収まるようにします。
これでiPhoneを持ち続けるお仕事とはおさらばです。
安心して対談内容を聞きながらメモを取ることができます。
高さと安定性と水平を求めるなら三脚を
個人的にはカメラを置くのは一脚より三脚をお勧めします。
お勧めなのはSILKの「800G-X」です。
理由としては3つあります。
・高さが出せること
・グラつかない安定性
・水平がとりやすい
というのも今回使った一脚タイプ、実は結構制限があります。
例えば地面が板敷きなら良いのですが、凹凸のある地面(砂利や土)などでは不安定になります。
これは一脚の下部にある脚の部分が短いためです。
2回目の収録では地面が砂利であったため、ちょっとした振動で倒れてしまいました。
また一脚タイプは高さがありません。
対談者が地面に座っていれば良いのですが、イスやスツールに腰掛けたり、あるいは立ったままの撮影の場合下から見上げるアングルになります。
もちろん、台を下に置くなどすれば対応できますが、そうした荷物を用意できるとも限りません。
でしたらはじめから150cmくらいの高さを出せる三脚が楽です。
最後に水平です。
撮影後の編集段階で「あれ?傾いてないか?」と気づいた時のヤバイ感はなんとも肝が冷えます。
傾きを防ぐためにも撮影前に水平を取っておくのはやっておきたいことのひとつです。
三脚は簡易ではありますが水平器がついてます。
水平器と画面の両方を見ながら画面が水平になっているか、傾いていないかと確認することができます。
「それでも傾いていたら?」
大丈夫です。
心優しい視聴者さんは「気にならなかったよ」と優しく言ってくれます。
スマートフォンホルダー
スマートフォンホルダーも必須です。
三脚にiPhoneを直接つけることはできません。
三脚に取り付けられるホルダーを付け、ホルダーにiPhoneを装着します。
先にも進めた三脚SILKの「800G-X」はホルダー付属なので楽です。
他にもさまざまなホルダーがあるのでサイズに合ったものを安く手に入れられるに越したことはありません。
ガンマイクを使う場合のホルダーの選定について
ホルダーについてはひとつだけ注意点があります。
それはiPhoneとガンマイクを使う場合です。
ガンマイクは製品の特質上、一定方向を向いたまま保持する必要があります。
そのためホルダー上部にガンマイクを固定する「スリット」が必須です。
「なんとなく伸ばしてiPhone挟めればいいや」という考えですと、iPhoneにつないだガンマイクが宙ぶらりんな状態になります。
わたしはガンマイク用にと専用のホルダー(Ulanzi製のST-02S)を追加購入しました。
たかがホルダーのクセして2000円もしますが、これは必要経費だと割り切るしかありません。
これが例えばデジタルカメラなどのように上部にストロボ用のスリットがある機械ならば、こうした専用ホルダーは必要ありません。
音声確認用のヘッドホン(またはイヤホン)
イヤホンまたはヘッドホン。
必須、とは言い難いですが持っていた方が良いです。
iPhoneにつなげたマイクがちゃんと音を拾ってくれているのか?
音がザリザリになってないかなどをテスト段階で確認するためです。
つなげたからといってキレイな音で録音されていると思ったら甘いです。
実は端子が挿さりきってなかったとか
何かの拍子で抜けそうだとか
そもそも挿さってなかったとか
いくらでもヒューマンエラーはあるのです。
そうした悔しい思いをなくすためにも、一度雑談している様子を録画し
その場ですぐに音声チェックをします。
「iPhoneの音量デカくすればいいんじゃね?」という意見もあるでしょう。
確かに音が入っているかどうかを確認するだけならそれでも構いません。
「必須とは言い難い」という理由がここにあります。
しかし屋外で音量を大きくして確認した音が、YouTube越しに聴いている視聴者の耳に聞こえる声と同じに、あるいは近くになるでしょうか?
ここは慎重に
イヤホンをつないで
自分が選んだマイクがどんな音を、声を拾ってくれたのか確認ましょう。
それが終わってから本収録に入っても遅くはないのです。
心の支え!モバイルバッテリー
持っておいた方が良いもののひとつにモバイルバッテリーがあります。
必須とは言えませんが「心の支え」と言えるアイテムです。
そう、心の余裕が違ってきます。
その理由を説明しましょう。
iPhoneは動画専用のカメラではありません。
日常的に使っています。
使うたびにバッテリーは減っていくため、撮影がスタートするときに充電率が100%であることは稀です。
そして撮影が始まってからは録画のためにゴリゴリとバッテリーは減っていきます。
下手なタイミングで撮影を始めようものなら
「いつ、バッテリー切れを起こすのだろう?」
ドキドキしながら見守るしかありません。
心臓にとてもよろしくありません。
そこで設営中にモバイルバッテリーを使って充電を進めていきます。
あってよかったモバイルバッテリー
実例をひとつ話しましょう。
今回の対談ではわたしは湯河原に向かう電車の中でiPhoneを使いまくったため、到着する頃には残り25%になってました。
このまま撮影を始めては確実に途中でバッテリー切れです、ヤバイです。
そこで「こんなこともあろうかと(ウソです。実は当日の朝になんとなく持ち出しただけ)」と持ってきたモバイルバッテリーを取り出し充電を始めます。
充電時間は撮影場所への移動や設営準備の時です。
おかげで撮影開始時には73%になっていました。
これでひと安心です。
73%が妥当な残量なのか分かりませんが、まさか一発でバッテリー切れを落とすほどの長丁場にはならないでしょう(と、せつに祈る)
テスト撮影で10分使い、40分ちょいかかった本対談も終わり、バッテリーの残量を確認すると残り25%程度になってました。
よかった、無事に終わった。
モバイルバッテリーを持ってきて良かったと胸を撫で下ろします。
屋外のように充電できる環境がない場合
こうした充電機器は持っていった方が良いことを
心的負担がないことを!
わたしは声を大にして伝えたい!!
そんな出来事でした。
いろいろあった機器選び
長々と書きましたが、これくらいのアレやコレやがあった末の
「撮影はiPhone7PLUSとマイクだけ」なのです。
三脚以外はどれも小さなものなので、リュックひとつに詰め込んで撮影に臨むことができます。
まさに「気軽にやってみよう」を実現できるのです。
まだまだ書ききれないことがあるのですが、今回のテーマである「機材」について伝えたいことの中心は書くことができたと思ってます。
この記事が、誰かの役に立てればいいなと思いながら、筆を置くことにします。
<関連リンクです>
想いを届ける動画作りのお手伝い「いのちの森対談」撮影編〜2020年8月湯河原