武術の稽古の説明はホワイトボードでイメージをつなげる〜武術稽古記録2018年5月7日

ホワイトボード

武術は頭と体を使う創造性のある活動と思っている岩見です、ごきげんよう

私が主宰する中国拳法の教室「正宝内家拳研究会」では稽古の時にホワイトボードを使います。
武術の稽古内容と自分の体や意識のイメージをつなぐためという理由です。

今回の稽古では先日行ったスクワットにおける骨盤の傾きを題材にして説明しました。
屈筋と五行拳とスクワット〜武術稽古記録2018年4月23日

こうした説明によって運動経験がない人は自分の体への理解が進みます。
経験者なら課題や解決方法の具体化につながります。

両方に共通するメリットは、今まで自分の体に意識を向けていなかった部分があることに気づくこと。
そこにあらためて意識を集めることによって自分の中に可能性が見えてくることです。

目次

体のどこを使い、なにが起きるかを示す

「スクワットをやる時は膝がつま先より前にいかないようにやること」
スクワットのやり方の注意点のひとつとしてこのように言いました。

膝がつま先より前にいかなくすることで骨盤の傾きが変わります。

骨盤が地面と垂直に立つようになるのです。

しかしこの微細な角度は日常生活ではあまり意識されることはないようです。
実感は薄く、イメージもつかみにくいというのが実情です。

そこでホワイトボードに簡略図やポイントとなる部分を描く。
これでイメージしやすくなります。

ページトップにある写真が今回描いた絵なのですが、こんな簡単な絵でも伝わります。

自分がやる運動がどこを使い、その結果どのようなことが体に起きるのか、そうしたことを伝えていきます。

説明した後にあらためてやってもらいました。
「あー、確かに。これを意識して動くと全然違いますね」とさっそく声が上がります。

よっしゃ!と心の中で拳を握ります。

ちなみに骨盤の角度は武術では大切なことです。

教室で教えている形意拳の基本の構えである三体式でも骨盤を立てて構えます。

三体式

イメージと実感をつなげ体感に落とす

頭の中のイメージだけでなく、実際に動いて今までとの差を感じてもらいます。

知識やイメージだけでなく、実践も必要なのです。

自分の手で触って見て
あるいは他の人にサポートしてもらいながら
自分の体の感覚を自覚していく。

武術を通して自分の体に取り組む。
だから運動未経験であろうと、自分の体感に落とすことができる。

できる、できないは二の次。
自分の体を、感覚を感じ取る。
これが私が教える稽古の特徴です。

準備運動が大切

準備運動
屈伸、伸脚など、当たり前にできていると思っていること。

この準備運動が大切です。
武術の稽古より前に、自分の体がどのように動いているのかを観察するのにこれほど適した時間はありません。

今回はホワイトボードだけでなく
いつもカバンに入れている人体の構造の本も見せながら説明をしていきました。

本で把握する

…うん、なんか武術の稽古というより別の学習をしているようですね、コレ。

様々な動きでどこの筋肉が作用しているのか
今回のようなスクワットではどの部分が効いてくるのかを見ていきます。

今後の稽古で体をどう動かしていくか
骨格がどうなれば体への負担が少なく、稽古を続けていけるか

聞いて
動いて
確認していく

準備運動なのにとても充実します。

知的創造性のある武術を目指して

知識を得て
イメージを構築し
実践から体に落とす。
知的な創造性を内包した武術。

ただ漫然とやるのではない
自分と向き合いながらの活動。

ね?武術って(思ってるより)知的だと思いませんか。

ここに加えていく武術も同様に、自分を知るための稽古につながります。

この日の稽古は滑車の理論の歩法。
形意拳の基本の突き方である五行拳。
隙(スキ)を作らない振り返りの動きなどをやりました。

ただ一方的に指示を出すのではなく、自分と向き合うという時間というか、遊びを提供していく。

ホワイトボードはこうした説明と理解を促し、武術とイメージと実感をつなげるツールとして使っています。

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