全身バランスの安定は「意識」でコントロール~中国拳法での「複数要素の同時運用」番外編
創造と工夫、心に明かりを
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さて
運動をするという事は大なり小なりバランス感覚を要求されます。
立ったり歩いたりといった日常生活は勿論の事、中年会社意武術家JunoIwamiが取り組む中国拳法も例外ではありません。
前々回と前回にお話した、3つの要素を同時に行うという「複数要素の同時運用」はこうしたバランス感覚を鍛えるのにも効果を発揮します。
しかもこのバランス感覚は身体的なものだけでなく、常に全身に気を配りコントロールするという「意識の使い方」を含めた全身のバランス感覚です。
今回は「複数要素の同時運用の番外編」として、意識による体のコントロールについて軽くお話しします。
●1.意識がもたらす「全体バランス」
●2.集中力を「拡散させる」
●3.意識という見えざる手で得る安定感
意識には形こそありませんが、実に大きな力を私に与えてくれるのです。
目次
<<●1. 意識がもたらす「全体バランス」>>
一般的な「身体的バランス感覚」は耳の後ろにある三半規管が重要と言われています。
しかし「意識」をコントロールして得られるバランス感覚は、もっと全体的なバランス感覚と言えます。
バレリーナが指先から足先に至るまで、まるで一個の美術品のように立てるのは、そうした意識的なアプローチの賜物と考えています。
<<●2.集中力を「拡散させる」>>
集中力が高い状態とは、良い結果をもたらす行動以外に意識を割り当てない状態を言います。
そのため集中力は高いほど良いというのが一般的です。
しかし「複数要素の同時運用」を行うという事は、良くも悪くも意識を一か所に集める事は難しくなります。意識が体の複数の場所に拡散するのです。
意識と集中力が散逸し、今まで出来ていた事の完成度が下がり、満足に出来なくなります。
しかしそれでいいのです。意識の拡散を無理に引き起こすことが重要なのです。
<<●3.意識という見えざる手で得る安定感>>
「複数要素の同時運用」を行うという事は、重さも大きさも違う荷物を両手と頭に載せながら平均台の上を歩いているようなものです。
そんな不安定な状況では、必ずどこかで意識のラインが切れ、切れてしまった部分からバランス感覚が崩れます。
それを防ぐために使うのが「意識という見えない手」です。
この見えない手を意識のラインが切れた位置に向かって伸ばしていくのです。
始めはうまくいきませんが、続けていくことで段々と拡散していた意識が近づき、繋ぎ合わさり「一致」するのです。
一致した意識行う動きはとても高い安定性を示します。
それは三半規管だけでなく、体の動きをコントロール下に置いたからこそ得られるものです。
<<意識を手放さず、丁寧に>>
「意識」は誰もが持っているものであり、何気ない日常動作の中でも練習することが可能なものです。これを利用しない手はありません。
早速私は身体的な練習に加え、「意識」を手放さず丁寧に体を動かすことを始めました。
そう遠くないうちに、今私が持っている動きは、高い安定性を持つ動きに昇華されるでしょう。
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す 岩見より