中国拳法って複雑そうじゃない?~そんなあなたに形意拳、基本動作が少ないので助かります
創造と工夫、心に明かりを
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さて、
今回は中年会社員武術家JunoIwamiが長いこと取り組んでいる中国拳法ですが、その中の一つである形意拳(けいいけん)はなかなかに面白い武術です。
なにせ、技の種類が少ない!映画などの中国拳法のイメージですと、複雑に動き回って飛んだり跳ねたりしていますが、形意拳は全く逆で、本当に地味です。
今回は形意拳の良い意味での地味さ加減を上手く伝えられればと思います。
●1.基本の形は「1→5」でOK
●2.少ない技を掘り下げて、繋げてる
よく言えば合理的、悪く言えば地味。そんな形意拳が何だかんだで好きなのです。
目次
<<基本動作は少ない方が良いです>>
「武術は学問」と言われているほど奥深く、広大なものですが、いきなりそのような大風呂敷を広げられても困ります。
まずは小さな事から、自分の目の届く範囲を確かめながら進んでいきたいものです。
●1.基本の形は「1→5」でOK
少し極端な話ですが、形意拳の基本は「1→5」の数字で説明できます。
「1」は構え方です。「三体式(三体式)」と呼ばれる基本の立ち方がありますので、これを練習における動きの起点とします。
「5」は突き方です。「五行拳(ごぎょうけん)」と呼ばれる基本の打ち方がありますので、「1(三体式)」から「5(五行拳)」を打ち出す練習をします。
より正確に言いますと「一つの立ち方と、そこから打ち出す5種類の突き方」が形意拳です。
あまり複雑なことが得意ではなく、新しいもの次々に提示されても消化しきれない私にとって、この選択肢の少なさは練習するのに非常に助かりました。
●2.少ない技を掘り下げて、繋げる
「実質、五行拳の五個しか戦闘手段がないってこと?」それは半分はYesですが、もう半分はNoと言えます。
「五個しかない」と同時に「五個もある」のです。多すぎず、少なすぎず、丁度良い数なのです。
しかも五行拳の代表格である劈拳(へきけん)や崩拳(ぽんけん)のたった二つでも十分に取り組めます。
これら「1→5」の動きをスムーズに行えるように練習を行い掘り下げていきます。
そして今度は「5」の中を横に繋げていくようにしていきます。
少ない手札(三体式と五行拳)を練習で熟成させながら、発展応用させるという、実にニクイ練習方法です。
<<地味さの中にもキラリと光る>>
「1→5」の発展形として「12(十二形拳:じゅうにけいけん)」があり、また逆に「0(站椿:たんとう)」と呼ばれる立ち方で更なる基礎を詰めていきますが、基本的な部分は「1→5」の考え方で問題ありません。
実際私も、始めは「1→5」つまり「三体式→五行拳」しかも劈拳と崩拳ばかりをやらされましたが不思議と飽きる事はなかったです。
おそらく少ない動きで如何にして強く正しく打つかという地味な取り組みが性に合ったのだと思います。
スポーツをやっている人には「信じられん」「在り得ん」「古臭い映画みたいだ」と言われます。
しかし実際にこうした練習方法も「あり」だからこそ、形意拳は名人を多く輩出し、また年齢を問わずに好まれる拳法として現在も多くの愛好家を引き付ける魅力を持っていると思うのです。
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す 岩見より