「平常心」と「視野の広さ」~武術で多人数を相手にする時の視野の恩恵
創造と工夫、心に明かりを
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さて、
中年会社員武術家JunoIwamiが取り組んでいる武術の練習では、多人数を相手にする想定で練習をします。これが思った以上に難しく、一人目をさばいた瞬間に二人目、三人目に攻撃されて「詰み」になります。
こんな袋叩き状況を脱出するには、いわゆる「平常心」を保ち対処していく事が必要なのですが、具体的な方法が分かりませんでした。
しかし救いの手は、意外なところから現れます。
それは目、視野範囲でした。
今回は多人数を相手にする場合における視野範囲についての話です。
「平常心」を保つためにも、出来るだけ広い視野範囲を保つことが重要だとようやく分かりました。
●1.迷いと視線
●2.広い視野を保つ重要性
●3.平常心の習得に向けて
目次
<<●1.迷いと視線>>
3~4人を同時に相手すると一つの状況が発生する事に気づきました。
それは「迷い」です。
誰に照準を合わせて良いのか、全く判断がつかないのです。
ある人は殴りかかり、ある人は武器で、ある人は蹴りで襲ってきます。間合いも、タイミングも違うそれぞれの相手が同時に襲って来るのです。
どうしても心が浮足立ってしまい、「誰が一番始めだ?」とあちこちに視線を泳がせてしまいます。
平常心は失われ、アワアワとパニックになっているうちにやられてしまうのです。
<<●2.広い視野を保つ重要性>>
相手を眼で追ってしまう理由は「危険だから、それを回避するため正確な情報を得る」という本能的な理由があります。
そして正確な情報を得るためには、足を固定して相手を見つめる方が効率的です。そのため目の動きが大きくなるほど、利用頻度が高いほど足が動かなくなるのは仕方がないのです。
こうした状況を回避し、足を動かしながら相手の動向を同時に把握する事が、多人数を相手にするためには必要です。
ここでようやく視野範囲の話が出てきます。
目を動かして相手を補足するのではなく、出来るだけ広い視野範囲を保ち、視界に入る相手に対して処理していくのです。
これは前回の記事で紹介した「八方目(はっぽうもく)」でも説明しましたが「視点を固定した状態における最も広い視野の範囲を把握し、僅かな視線の揺れで周りの状態を把握する事」は、多人数を相手にする時にも有効な方法です。
広い視野を保つことは、自分に迫る危機への素早い状況判断を可能とします。
今まで目の前に迫られてようやく動き始めた手足が、それよりはるか前に動き始め、状況を自分でコントロール出来るようになるのです。
この事実は、容易にパニックに陥っていた私の心に余裕をもたらしてくれました。
<<●3.平常心の習得に向けて>>
多人数を相手にしても、冷静に対処するためには「慣れ」が重要ですが、前提となるいくつもの要項があります。
相手の動きを全体的に観察しながら、自分が不利にならないポジションへの移動。
相手の間合いと自分の間合いの違いを埋めるためのタイミング。
などなど
これらを行うためには、パニックにならない「平常心」が必要です。
それは心の強い人なら生まれ持っているかもしれません。
しかし弱者であっても、冷静に状況判断が出来るという成功体験の積み重ねが、「平常心」への道を示してくれると、武術の練習の中で教わったのです。
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す 岩見より