相手に向かって本気で打ち込むために~武術の稽古の恐怖心は段階的に取り払えば自信に変化する
創造と工夫、心に明かりを
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さて、「ヘイ、カマン!チョット本気で殴ってきて」といって本当にフルパワーで殴れる人はあまりいないというのが、中年会社員武術家JunoIwamiの見解です。
とはいえ、自分のため相手のためにも、出来るだけ本気でかかっていった方が良いというのもまた事実。
さあて、どうしたらいいでしょう?というのが課題だったりします。
手にグローブをつけたり、頭に防具をつけたり、寸止めとして直前に拳を緩めたりと様々な方法があります。
いずれの方法も良いところがたくさんあります。そして共通していることは、「徐々に、怪我しないようにしながら慣れてもらう」という工程に気を配っている事です。
今回は、本気で殴るに至る工程について、私が特に感じた2点について話します。
●1. 誰と組む?組み合わせが大事
●2. 人と道具と度胸とコントロール
目次
<<「怖いから」打てない>>
私はとても怖がりです。
「もし本気で打ち込んだとして」
a. 相手に怪我をさせたらどうしよう
b. みっともない姿を晒したらどうしよう
そんな起こってもいない事について変に心配してしまい、「本気で打つ」という事に対してどうしても踏み込むことが出来ませんでした。
そのため、いくつかの工程を経て「殴ることに慣れさせること」にしました。
●1. 誰と組む?組み合わせが大事
同じレベルの人と組むと、互いにこうした恐怖心がついて回り、どうしても動きが硬くなってしまいます。
そこで、必ず格上の人に相手をしてもらいます。
「避けられなかったら、それが出来なかった自分が悪いから、思いっきり打ってきて」と言ってくれる人なら文句なしです。
それはもう、最速で、最短で、最強の、自分でも今まで出したことのない突きを、思い切り打ち込んでいきます。
あっさり躱されました。
「ちょっと待って、今の本気じゃないから」負け惜しみのような事を言いながら、更に更に更にと打ち込んでいきますが、やっぱりあっさりと躱されます。
「ああ、かなわんなあ」そう安心します。この躱してくれるという安心感は更に自分の殻を破り、よりむき出しの自分を引き出し、その「むき出しの自分」を使って相手に向かっていくことが出来るようになります。
●2. 人と道具と度胸とコントロール
互いに素手という何も防具のない状態で相手を殴りつけるというのは、心理的にハードルが高いものです。
私のような小心者は特にそうです。…そうですよね?
そのためグローブをつけたり、防具をつけたりするのが一般的です。
また最近はスポーツチャンバラと言われる道具を使って叩くというやり方もあります。
この方法は実に有効でして、これで本気で殴ってもそれほど痛みはないため、昔のチャンバラごっこのように結構楽しかったりします。
もう一つのメリットとして、「正確さ」が身に付きます。
私は殴りつける直前に殴る軌道が相手からそれてしまう悪癖がありました。
これをスポーツチャンバラ用の道具を使って殴ると、自分がどの起動で打っているのか分かります。腕より長く、重いためコントロールが出来ていないという事実を把握するのにとても役に立つのです。
これを繰り返すことで、「本気で、全力で、正確な」を打ち出す度胸とコントロールをつける事が出来ます。
さあ、先輩方、今度こそ本気の本気です。躱せますか?
(そしてその後、キッチリ反撃されて沈むJunoIwamiの姿が!?)
<<いきなりは無理でも、相手を信じて打ち込んでいく>>
一般的な生活を送っていれば、人を殴る必要性はなく、そうした状況を考える事も少ないと思います。
しかし武術の練習では、自分だけでなく相手も上達を望み取り組んでいます。だからお互いが全力でぶつかりあう状況はとても重要です。
今は無理かもしれません。本当に怖いのかもしれません。
ですが、先人たちはいろいろな方法で私たちが上達できるよう工夫をしてくれました。
私たちは先人の工夫を信じて、そして目の前にいる相手を信じて、少しずつでいいので、本気を出して打ち込んでいけば良いのです。
こうした繰り返される稽古、積み重ねられた努力と時間は、漠然とした不安を自信に変える唯一の方法だと確信しています。
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す 岩見より