初めての人にこそ価値がある~中国拳法において「型」に取り組む2つの利点
創造と工夫、心に明かりを
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さて、
何かを始めようとしたときに「フリーダム!」で始めてしまうと迷走します。
あっちへフラフラこっちへフラフラ、気が付くと何もなさぬまま時間だけが過ぎているという始末。
中国拳法では「型」の稽古に取り組むことで、「フリーダム!!」を回避します。
おかげさまで私のような運動能力の低い人間でも人並み程度には動けるようになりました。
今回は「型」に取り組む利点について2つ紹介します。
JunoIwamiは特別な才能のない中年会社員武術家だからこそ「型」に取り組みました。初めて取り組んだ時の試行錯誤で、大きな価値を感じたからです。
目次
<<考えながら稽古が出来るという利点>>
「型」は言ってみればその流派におけるルールのようなものです。
順番を覚えた後でも、繰り返し練習することで本領を発揮します。
そんな「型」を繰り返して稽古する際に
「この動きはやけに動きにくいけど、これは型が悪いのか、自分が悪いのかどちらだろう?」とか
「この型はどうやって使うんだ?」などと様々な思考が頭に湧き上がります。
この思考や疑問を頭の中で整理して、次の稽古で検証、実行するという事が出来ます。
型がないと、こうした思考や疑問は自分にとって都合が悪いため、大した検証をすることもなく、次のステップに行ってします。
「型」イコール「その流派のルール」と覚えておけば、思考や疑問を通じて自分に足りないものは何かという点が明確になるため、稽古の方向性が見えてきます。
暗中模索でおっかなびっくり取り組むより、余程見通しの明るい状況と言えます。
見通しが明るいという事は、やる気の軽減も起きにくいので、継続的に稽古が出来ます。
<<考えずに使えるという利点>>
繰り返した型の稽古により、思考より先に手を出せるという状況になれます。
またそこまでいかなくても、アワアワしているだけでもとりあえず手を出せば何とかなる状況になります。
大切なのは、この時の手の出し方が、繰り返した「型」の通りであることです。
やけくそで腕をぶん回すのではなく、スッと、一番多くやった型の手を出すのです。
その結果「基本の通りに動いたら相手が倒れていた」という状態になります。
あまりにもきれいに入るため、技をかけた方がビックリします。
「この型を考えた、先人の知恵ってスゲー!」と思わずうなってしまう程です。
考えながら方向性を磨き、それを積み重ねたからこそ、自然な動作で手や技を出せます。これはなかなか躱せるものではありません。
見方によっては役に立たなさそうな「型」ですが、取り組み方によってはとても役に立つのです。
●逆に行う事はリスクが高いのでご注意を
…念のため申し上げますが、これを逆にするのはあまりよくありません。
「考えずに稽古する」を繰り返しても、変なクセが増長するだけですし。
「考えながら使おう」としても相手はその通りに動いてくれませんし、自分の動きも鈍くなりますから。
高いレベルになれば、また話は変わるかもしれませんが、やはりいきなり多くを望むよりは利点を最大に活かした稽古方法を行いたいものです。
私のように特別な才能が無くても、やり方を考え、自分に取り組み、コツコツと練習を積み重ねることで、人並みに動けるようになり、人並み以上の打突の威力を得る事ができました。。
「型」というものには、そうした自分の中の可能性を引き出してくれる「無言の教え」が詰まっているのだと思うのです。
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す 岩見より