お年を召しても問題なし~吹っ飛ばされたからこそ言える中国拳法を選んだ理由
創造と工夫、心に明かりを
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さて、
中国拳法だけでなく、多くの武術の逸話で老人が若者を吹っ飛ばすという描写が多くありますが、まさか自分がその「吹っ飛ばされる若者側」を実体験する事になるとは当時思ってもいませんでした。
今回は、中国拳法を選ぶに至った経緯について話したいと思います
中国拳法は、昔から憧れていたので、やってみる「つもり」ではいましたが
「応接室で会長夫人に吹っ飛ばされた」という事実が、「つもり」を「やる!」に変えた決定打になったのだと思います。
私は現在、少林寺拳法を離れ、中国拳法を習い、また教えているという立場にいます。
その一番始めの一歩「全日本中国拳法連盟」に足を運んだ時の話です。
目次
道院探しから中国拳法の道場へ
どんな時でも別れはあります。
私が情熱を傾けた少林寺拳法も、移転後の校舎に部がないという理由により継続を断念せざるを得ませんでした。
そこで学外で習う事を希望しましたが、少林寺拳法の道院(道場)を探しても見つからず
どうしたものかと悩んだものです。
そんな折、中国拳法を教えてくれる場所が近所にあったことを思い出しました。
調べてみると、学業と並行で通える位置、および月謝です。
早速連絡を取り、お話を聞かせていただく許可をもらい、日時を合わせて伺う事にしました。
中国拳法と言っても様々な種類があることを知る
全日本中国拳法連盟は日本で最も歴史のある組織の一つであり、習える種類も多くあります。
中国拳法だけでなく古流柔術のクラスもあり、自分の希望に沿った内容を選べることは非常に魅力的です、
またここで初めて故・佐藤金兵衛会長にお会い出来ました。雑誌や書籍では名前を見ていましたが実際に会えるとは思っておらず、しどろもどろになっていました。
しかしお忙しいらしく、僅かに受け答えをするにとどまりました。残念です。
緊張していた反面、見た瞬間「うわ、生の佐藤先生だ」とミーハー気分に盛り上がっていたのは内緒です。
主な説明は会長夫人である佐藤先生の奥様にしていただき、太極拳、形意拳、八卦掌などの説明を受けました。
拳法としての特徴だけでなく、健康面へのメリット、年齢層でやり易い種目などを挙げていただいたので、予備知識の少ない私にとっては非常に助かりました。
そして、おもむろに吹っ飛ばされる
話をしてくださった会長夫人は「私は(武術は)やっていないのよねえ」とコロコロと笑っていたのですが
「でも、やっぱり太極拳とかもこんな感じで練習すると後々の健康のためにもいいのよ」と言いながら、椅子で話を聞いていた私を立ち上がらせました。
「ほら、女性でこの年齢の私でも、この程度は・・・」と言って
私の胸元に両手を置き、チョイと動きました
その瞬間、おもむろに後ろに吹っ飛ばされたのです。
話の途中でそういう流れにはなるだろうと予想はしていましたが
正直、こちらは当時20才でつい今しがたまで少林寺拳法をやっていたわけです
何か来ても大丈夫だろうと油断していたのは事実ですが
ああも見事に吹っ飛ばされると、驚きで笑いも起きませんでした。
入門、ようこそ中国拳法の道へ
その後、更に詳しく話を聞き、全日本中国拳法連盟に入門することにしました。
中国拳法が、摩訶不思議な神通力ではなく、地味な稽古の末に効果を発揮するものだと感じたからです。
少林寺拳法への未練はありましたが、清々しいくらいに吹っ飛ばされたせいか
そこまで深刻にならずに次のステージに臨んだように感じました。
冒頭でも申し上げたように、思いがけないタイミングで「老人に吹っ飛ばされる若者側」に立ったことにより、今までとは違う可能性を感じたと言えばよいでしょうか。
そこに飛び込んでみたら、多分きっと、今よりもっと面白い景色が見られるかもしれない、そういう心の躍動を覚えたのです。
今までとは違う分野、違う環境、そういったものに恐怖を感じるのは仕方ありません。
しかし、始めの一歩を踏み出してみると、そこには違う環境だからこそ、見て、味わえて、感じることが出来る世界が広がっているのだと、私はそう思うのです。
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す 岩見より