転倒中のお年寄りをキャッチ~観察、推測、実行の一連動作は武術をやっていたから出来た事

創造と工夫、心に明かりを
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さて、
中国拳法を始めていなかったらちょっと対応が難しかったかな?と思う状況がありました。
転倒しそうなお年寄りをキャッチした事です。怪我がなくてよかった。

確信があった訳でなく、観察と推測がたまたま合致し、前に足を運んだというだけなのですが、どちらも武術をやっていなければ間に合わなかったと思います。

●1. 観察と推測
●2. 前方移動は「膝抜き」の歩法から
●3. お年寄りを無事にキャッチ

中年会社員武術家JunoIwamiは決断力が鈍く、足も遅いですが、それでもやれることは利用したいのです。

目次

<<駅の構内でのお年寄りと若者>>

ある日、駅の構内を歩いていると、左からスマートフォンをみながら歩いてくる若者が、右からは僅かに腰の曲がったお年寄りが歩いてきました

二人とも互いの正面から歩いてくる相手を認識しておらず、気が付くのは相当近距離に近づいてからになりそうでした。

ここまでなら問題ないのですが、近づいていく二人を見て、たまらない違和感を感じました。

●1. 観察と推測

若者とお年寄りを観察して分かったのですが、二人の歩くテンポと歩き方があまりに合っていないのです。私が感じた違和感の正体はこれです。

歩き方やテンポが合わないと距離が近くなった時に避けようとしてもぶつかる可能性が高いと推測しました。
「なんで歩調と歩き方が合わないとぶつかるのだろう?」という疑問が頭をよぎりましたがその時はそう感じたのです。

後から思い出すと、二人でやる組手や一対多人数などで良くやる「先読み」だったのではないかと思います。少ない情報を使ってあらかじめ自分にとって一番良い方向に持って行けるように動きを組み立てる、逆にそうしないと相手に翻弄されてしまう、割と重要スキルです

●2. 前方移動は膝抜きの歩法から

二人がすれ違う場所は私からやや離れていたので、少しだけ歩くスピードを早めます。
こういう時に武術をやっていると便利です。いきなりダッシュで二人に向かって行ったら思い切り不審者ですので、気付かれないよう、そして間に合うようにスピードを調整します

一歩目さえ早く出せれば後のスピードはどうにかなりますので、使うのは「膝抜き」です
前方に体重を預けつつ、膝の力を抜き、体が前に倒れ込む勢いを利用しながらつま先を出していく歩き方です。これを一歩目で行います。

向かう先はお年寄りのやや前方です。

●3. お年寄りを無事にキャッチ

膝抜きからの急ぎ足(と言っても数歩程度ですが)丁度良い距離になった時に、案の定二人はぶつかりました。

私の予想と違ったのは、体がぶつかって転倒するのではなく、若者の前方に投げ出した足が、お年寄りの引き寄せようとした後ろ足を蹴飛ばすように入ったため、お年寄りが前方に投げ出されるように吹っ飛んだことです

幸い、それを見越して僅かに前方に位置取りしたためキャッチすることが出来ました。
結構ギリギリです。何せ自分でもあまり信じていなかったので曖昧な距離であったことに加えて前方に吹っ飛ぶような勢いです。怪我がなくて本当に良かった

<<観察と推測と実行が繋がったからできたこと>>

目に入った対象を観察し、殆ど勘と言って良いほどの推測が生まれ、それに対応できるように体を使う。今回の一連の流れは、そんな感じで終わりました。

今回の行動はJunoIwamiが中年、会社員、武術家だったから達成できたのだと思います。
神業のような反射神経が無くても、陸上選手のようなダッシュ力が無くても自分の出来る範囲の、積み上げたものを使って人の役に立つことが出来れば、この平和な時代に武術をやる意味は十分にあるのだと心に思うのです。

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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す  岩見より