基本動作を繋げてみよう~中国拳法形意拳の「五行連環拳」をやる理由
創造と工夫、心に明かりを
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さて、
中国拳法では、動作を組み合わせた一連の運動を「套路(とうろ)」と言います。
空手などをはじめとした日本の武術では「型」と言われており、こちらの言い方の方が一般的です。
中年社員武術家JunoIwamiが取り組んでいる「形意拳(けいいけん)」でも「型(套路)」があります。
武器を持たずに素手の状態で行う「型」だけでも複数あり、槍や刀、棍などの武器についても型はあります。
今回は、私が主に取り組んでいる形意拳の型の一つである「五行連環拳(ごぎょうれんかんけん)」について話をします。
●1.形意拳での「連環」
●2.目的と効果
「連環」とは、何かを繋げる事を言います。
形意拳の何を繋げ何をしたいのか、そうしたことを意識して練習する事が「武術っぽい踊り」から「武術」になる条件と考えて取り組んでいます。
目次
<<●1.形意拳での「連環」>>
「連環」は辞書によると、「輪を連ねる事、鎖」とあります。
バラバラになっている個別の物を繋げて一つにまとめたり連動して使えるようにします。
では、形意拳においては何が鎖のように繋がるのでしょう?
その答えは、ズバリ「基本」です。
形意拳では基本の形として「五行拳」があります。
五行拳とは簡単に言いますと「5種類の突き方」です。
普段の練習では、この五行拳を個別に練習しますが、「五行連環拳」では五行拳の一つ一つを繋げて一つの流れ(「型」または「套路」)として練習します。
<<●2.目的と効果>>
◆2a. 個別じゃだけダメですか?
個別の物をわざわざ繋げて複雑にするのには理由があります。
形意拳は五行拳を個別に練習することを重視しますが、それだけで終始してしまうと「固まってしまう」のです。
例えば私の場合、五行拳をやり続けたおかげで随分と突きの威力は大きくなりましたが、打った後に「硬直する時間」が出ていました。
これは武術にとっては非常に大きな問題で、たとえわずかな時間でも大きな隙に繋がり、相手に反撃の糸口を与えてしまうのです。
こうした「硬直する時間」をなくすための練習は必須であり、個別の練習だけでは習得が難しいのです。
◆2b. 動作を繋げて基本を見直す
五行連環拳は、個々の五行拳を繋げる事で、連続的且つスムーズに運用する事を目指します。
これにより「打った後の硬直状態」が無くなり、武術としてより高度な運用が可能となります。
五行連環拳が形意拳の他の「型」と違うところは、「やっていることが基本(五行拳)である」という事です。既に知っている基本を組み合わせるのでとても取り組みやすいのです。
また練習しているうちに新たな発見をした時、そのまま基本にフィードバックする事も出来ます。
基本から運用へ、運用から基本へ。この流れによって基本を強固にしていきます。
私は先生の指導のもと、五行連環拳を通じて力を維持したまま、止まらず、流れるように動くことを教えられました。
地味な型ではありますが、形意拳の基本を活かしたとても素晴らしい型なのです。
<<今練習している型は何?>>
ここ最近は、2013年12月15日に行われる演武会に向けて型の練習をしています。
上にあげた6つの方のうち一つをやる予定です。
河川敷で「太極拳ではない何か」をやっている人がいたら、それは私かもしれません。
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す 岩見より
はじめまして
芦屋で形意拳と八卦掌を学んでいる者です。
現在五行連環拳を学習中ですが、ブログを見せていただき勉強になりました。
確かに個別で五行拳をやると発力した後しばらく硬直してしまいますよね…
型を繋げて練習することで流れるように次の動作にすぐ移れるようにする、なるほど!
ありがとうございました。
お読みいただきありがとうございます。
参考にしていただければとてもうれしく思います。
五行拳を個別に練習し、連環拳で繋げていけば、それだけでもとても意味の大きい練習になると実感しています。
そうしてまた五行拳に帰ってくると、また違った一面に気付くことが多いのです。
こうした練習方法を教えてくれた先生や型を残してくれた先人への感謝と共に記事を書いてみました。
今後ともよろしくお願いします。