一身に七拳を宿す、中国拳法における攻撃手段を広げよう

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photo credit: Leo Reynolds via photopin cc

創造と工夫、心に明かりを
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さて、中年会社員武術家JunoIwamiが稽古をしている形意拳をはじめ、各武術には突き蹴りといった攻撃方法があります。

私はこうした攻撃方法は「せいぜい拳で殴ったり、蹴ったりするくらいだろう」と思っていたのですが、そうではありませんでした。

中国拳法には「一身に七拳を宿す」という言葉があります。
人の体には7つの拳(攻撃部位)があるという事です。
今回はこの言葉が示す「七拳」の部分について説明します。

●7つの拳を持つ身体

両手に握る拳だけが攻撃部位ではないのです。

目次

7つの拳を持つ身体

それでは「七拳」に相当する体の各部分について説明します。

1. 頭部

いわゆる「頭突き」です。
頭部はいくつかの固い部分があるのでそこを使って攻撃します。

人体の頭部はそれなりに重いので、勢いがつくと強力な攻撃手段になります。

心意六合拳では多用されており「そこから頭突きかよ!」と不意を討たれるのが怖いです。

2. 肩

肩は胴体の一部なので強い力を伝える事が出来ます。

相手の懐に飛び込む、または相手の背後に回りつつ近距離から攻撃出来ます。

形意拳でも基本である五行拳に肩からの攻撃があります。
ほんの小さな隙間から胸板に当てられると呼吸が止まります。

3. 肘

肩と拳の間にある肘は、非常に固く、短い距離でも強い力を発揮出来ます。

横にも縦にも斜めにも使える、攻撃の要と言えます。

この肘をいかにして柔らかく使い、相手に叩き込む事が出来るかと検討するのは結構楽しいです。
太極拳をはじめ各拳法ともに隠れた技術が盛りだくさんです。

4. 拳

握りこぶしはいわずとしれた「打突の主役」です。
体の各部を連動、あるいは剛体化させた状態の拳は十分な威力があります。

「ただ一点に集中する」

武術家としては一番苦心して修練を続けている部分です。

5. 腰から背部

「骨盤付近から背中にかけても拳」です、と言われてもピンとこないかもしれません。

肩より下の体幹部を「拳」として使います。
肩以上に大きく重いことの強みを活かす事が出来ます。
相手の胴体そのものを攻撃対象とします。

「体当たり」と言ってしまえばそれまでですが、タックルとは内容がかなり違います。
以前、私の先生である馮正宝老師に「軽く」やられたところ、その衝撃が腹部にピンポイントに響き、内蔵を揺さぶられる不気味な感覚と共に膝をつきました

6. 膝

膝蹴り、というのが一番分かりやすいですね。

足技は「蹴る」という方法が一般的ですが「腿法(たいほう)」として、足そのものの使い方を知るとグッと応用範囲が広がります。

そのため膝を使う場合は突き刺すような膝蹴りの他にも、相手の膝や腿に差し込むように使うケースもあります。

7. 足

こちらも拳と同様に「打突の代表格」と言えるでしょう。

つま先で蹴り込むもよし
かかとで踏み折るもよし
足刀部、足背部(靴ひもを縛る部位と言えばいいでしょうか)だって使えます。

形意拳や心意六合拳は大技こそありませんが「暗腿(あんたい)」といって膝から下を蹴る技があります。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
「一身に七拳を宿す」の説明として、身体の「七拳」に相当する部分について紹介しました。

各部位の使い方についてはまた別に記事にしたいですね。

足技のようににある程度開いた距離から、手の届く距離、頭突き、胴体まで、いろいろな距離に対応すべく体系が組まれています。

この話を聞いた時は、使えるところは全部使い、武術として全うしようというある種の凄みさえ感じました。
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立ち止まっても倒れても、また人は歩き出す  岩見より
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